アイダーダウン

アイダーダウンとは、アイダーダックの雌が卵をかえすために、白分の胸から抜き取って巣に敷きつめた胸毛のことです。
毛綿鴨とも呼ばれる海洋性水鳥のアイダーダックには、キングアイダー、メガネアイダー、ステラーズアイダーなどの種類があります。アイスフンドやグリーンランドなどの北極圏の海岸線に生息し、厳しい寒さに耐えるため、全身を覆う羽毛は弾力があり、保温性にすぐれています。アイダーダックの巣は5月中旬から6月にかけて、海岸の低地や岩場などに作られます。
卵からかえった雛烏が巣立ったあと、巣を壊さないように、ピンセットを使ってアイダーダウンが採取されます。1羽の水鳥から直接採取されるダウンの量が約60gなのに対し、巣から採取されるアイダーダウンの量は20gほどです。アイダーダウンは長い羽枝を持つため、ダウンボールの一つ一つがよく絡み合います。このため、手のひらに載せても全く重さを感じないほど軽いのに、フィット性に富み、とても暖かいのが特徴です。
ほかに並ぶもののない品質とその希少性から、アイダーダウンのふとんには100万円以上するものもあり、羽毛ふとんの中でも最高級品とされています。