帯電防止加工

繊維の中でも、綿や羊毛などの天然繊維や、レーヨンのような再生繊維は、空気中の湿度を吸収し、水分を含むため、わずかながら電流が流れます。しかし、ポリエステルやナイロン、アクリルなどの合成繊維は吸湿性に乏しく、ほとんど電流が流れません。
このため、こうした繊維で作られた製品では、摩擦によって発生した静電気がたまり、パチパチしたり、まとわりつきの原因になります。静電気は、特に低温、低湿の日本の冬季に発生しやすくなります。
合成繊維のこうした短所をカバーするのが「帯電防止加工」で、洗剤に使われている界面活性剤などで親水性の被膜をつくったり、繊維そのものに静電気を起こしにくくする素材を練り込む方法などがあります。
現在、ほとんどの合成繊維100%の製品は、特に表示がなくても、帯電防止加工がされています。しかし、その加工は、染色工場の最終仕上げ工程で被膜をつくる方法なので、洗濯すると落ちやすく、効果は一時的です。これに対し、親水性の物質などを練り込んだ繊維は、洗濯を繰り返しても、帯電防止効果が持続します。
このため、特殊素材を練り込むことで、帯電防止効果の持続力を高めたアクリルなどが開発され、寝装品では毛布やボアシーツなどに使われています。