綿ふとんとは?
● 綿花でつくった綿わたを詰めたふとんを、綿ふとんといいます。日本では、江戸時代後期から庶民のふとんとして使われ始め、長い間大事な家財道具として扱われてきました。 特に第2次世界大戦前後は、綿わたの不足や戦災による家財の焼失などによって、綿ふとんは貴重なものでした。 今も、年配者の中に綿わたを貴重視する傾向があるのは、このときの経験によるところが大きいようです。 綿ふとんは、掛け、敷き両方に使わ.れていましたが、掛けふとんには、合繊や羽毛などの軽い素材が出てきたため、最近は少なくなってきました。しかし敷きふとんは、綿わたが敷きふとんに適しているためか、依然として根強い人気を保っています。 では、その人気を保つ綿わたにはどんな特徴があるでしょうか。.
綿わたの特徴は?
●吸湿性がいい
「一晩にコップー杯分」といわれる汗や、室内の湿気をよく吸う。
● 保温性がある
繊維と繊維の間に空気をたくさん含むため、暖かい。
● 適度な硬さと弾力がある
適度な硬さと弾力があり、体が沈み過ぎない。
● 目に干せばふっくらと元に戻る
使っていると、湿気と体の重みで硬くなり、かさも減るが、日に干すとふっくらと元に戻る。
● 不快な臭いがない
綿わたは植物性繊維なので、動物性繊維のような不快な臭いがない。
● 打ち直しができる
干しても膨らまなくなったり、側地が傷んだりしたら打ち直しをして作り替えることができる。
どんな綿がいい?
● 綿わたにはJIS規格がありますが、各メーカーはそれにこだわらず、産地や品質によって7~10段階前後のランクを設け、価格もれぞれのランクごとに変わります。上位は、最高級のわたといわれる天津綿やインド綿など、繊維が太くて弾力性に優れた綿花を100%使ったわたが占めています。次のランクには、これらの綿花にポリエステルを混ぜたものがあります。その後に、綿花に落綿(糸に紡ぐときに出るくずわた)を混ぜたもの、さらに、落綿にポリエステルを混ぜたものと続きます。
しかし、綿ふとんの使い心地は、綿花が上質でその割合が高いものほどよくなります。したがって、予算に余裕があり、ふとんをこまめに干すことができる場合は、上質の綿花を100%使ったものが理想的です。
しかし、こまめに干すことができない場合や重いふとんを持ち上げられない場合は、ポリエステルを少し混ぜたものの方が取り扱いが簡単です。
また、落綿やポリエステルの多いわたは、弾カ性や吸湿性が劣るため、上質の綿花100%の綿ふとんのような使い心地は得られません。これらのランクの低いわたは、普通、チラシ広告などの格安品に多く使われています。これらは、災害用、短期間用と割り切れば使える、という程度のものです。
上質の綿わたを手に入れるには?
寝装品専門店では、いろいろな種類の綿わたと側地を扱っています。その中から、体格や使い方、予算など、ひとりひとりの条件に合わせて、最適なふとんを作ってもらうことができます。
● サイズ
敷きふとんは100cm×200cm、掛けふとんは150cm×200cmが標準。
身長に合わせて特殊サイズ(身長+35~40cm)も作ることができます。
● 重さ
敷きふとんは6kgが標準。重すぎるときは、軽め(4~4.5kg)に作ってもらい、マットレスなどと重ねて使います。また、掛けふとんは、綿100%では重くなるので、ポリエステルの入ったわたで作ってもらうと軽くなります。
● 側地
店内にあるもの以外に、手持ちの生地を持ち込むこともできます。
上手な取り扱い方
上質な綿ふとんを手に入れても、取り扱い方がよくないとそのよさが生かされません。
● こまめに日に干す
綿わたは吸湿性に優れていますが、その湿気を自然に発散させることはできません。
そこで、天気のよい日にはこまめに日に干して、中にたまった湿気を発散させましょう。
ふとん干しができない場合には、ふとん乾燥機で乾燥させます。
・天気のよい乾燥した日の、午前10時~午後3時の間に、両面が日に当たるように片面2時間ぐらいずつ。
・側地の傷みや汚れ防止のため、シーツやカバーでおおって。
・干したあと、ふとんたたきで強くたたかない(わたの繊維が切れる)。
・ほこりはブラシで払うか、ふとん専用の吸い口をつけた掃除機で吸い取る
● 収納は湿気の少ないところに
吸湿性のよい綿ふとんは、押し入れ内の湿気も吸ってしまいます
・押し入れの乾燥も心がけて下さい。
● 固くなったら打ち直しを
日に干しても元通りに膨らまなくなったら、専門店に打ち直しを頼みます。
・打ち直しの目安は、敷きふとんは3年、掛けふとんは5年に1回。
・掛け、敷きとも、3回ぐらいまで打ち直しができる。このとき、新しいわたを足してもよい。
・従来の敷きふとんが重いと思う場合は、4kgぐらいに軽く作り、マットレスと併用する。
・綿花100%の掛けふとんは重いので、ポリエステルわたを混ぜて軽く作る。または、敷きふとんに作り替えを。